2019年07月03日

賢者のVR

(『未来技術奇譚集 素顔のままで』収録作品の一部をご紹介しています)

賢者のVR

オー・ヘンリの短編小説『賢者の贈り物』は、互いを思いやる夫婦の行き違いを描いた名作ですが、本『賢者のVR』はそのオマージュで、仮想現実の世界のなかでの男女の行き違いを描いています。

本作の主人公は、妻を嫌いではないけれども出会ったころのようなときめきはもはやなく、もういちど誰かと燃え上がるような気持ちになりたいと感じています。しかし彼は過去の浮気が原因で極度に妻を恐れており、とても浮気などできないと思っています。

ある日友人に、人間相手ではなく人工知能相手であれば浮気も問題とはならないと説かれ、彼はVRL=仮想現実恋愛サービスを利用してみることにしました。

コンピューターが作り出した相手はまさに理想的で、彼女との恋に熱中し一夜をともにします。ところが、仮想現実の枕の上の仮想現実の女性が口にしたことばに驚き……

未来技術奇譚集 素顔のままで
技術の進歩が社会にもたらす不可思議を描くショートショート8本を収録
電子書籍(Kindleのみ)
発行:2019年6月17日初版
価格:99円(Kindle Unlimitedで 0 円)

posted by osono at 17:44 | 著作

2019年06月27日

AI総理アイちゃん

(『未来技術奇譚集 素顔のままで』収録作品の一部をご紹介しています)

AI総理アイちゃん

昨今、人工知能の発展により多くの職業が不要になると予想されていますが、それならば、人数が多い多いと言われ続けている国会議員も人工知能に置き換えられる日がくるのではないか、ポピュリズムと人工知能の進歩というふたつの時代の流れがあれば、人気アイドルが人工知能に従い行動することを約束して総理大臣となることだってあり得るんじゃないか。。。そんな着想で書いた作品です。

支持率低下に悩むX国の政権与党幹事長は人工知能「ソーリー」に従って行動することを有権者に約束する国会議員を誕生させることを思いつきます。候補者として立てられたのは「一万年にひとりの美少女」と呼ばれる国民的アイドル、アイちゃん。アイちゃんは当選し、あれよあれよという間に総理大臣に祭り上げられてしまいます。

このときX国は国際関係上非常に難しい局面に立たされており、ひとつ判断を誤れば破滅へと向かいかねない状況にあります。X国のゆく末を決定づける重要な閣議に臨むアイちゃん。閣議ではふたつの意見が対立し、アイちゃんに最終決断を迫ります。人工知能「ソーリー」の判断は?そのときアイちゃんは……

未来技術奇譚集 素顔のままで
技術の進歩が社会にもたらす不可思議を描くショートショート8本を収録
電子書籍(Kindleのみ)
発行:2019年6月17日初版
価格:99円(Kindle Unlimitedで 0 円)

posted by osono at 23:12 | 著作

2019年06月24日

脳をコピー&ペーストした男

『未来技術奇譚集 素顔のままで』収録作品のうちのいくつかをご紹介していきます。

脳をコピー&ペーストした男

「博士」は、人の脳の情報を他の人の脳の情報で置き換える技術を発明します。脳内のニューロンの活動を読み取り(コピーし)、それをそのまま他者の脳に移植する(ペーストする)技術です。

ある日、博士のクリニックを「キツネ目の男」が訪れ、自分の脳情報を他者の脳情報で置き換える手術を希望します。男は、温和な正確な人の脳情報の移植を受けて、目つきも優しくなり帰っていきます。

一週間後、「博士」はテレビのニュースで「キツネ目だった男」は銀行強盗をし人質5人を殺害した凶悪犯であったことを知ります。男は犯行の翌日にクリニックで脳情報移植の手術を受けたのでした。

公判で、弁護側の求めで証言台に立った「博士」は被告に脳情報書き換えの手術を施したこと、被告の過去の記憶はきれいさっぱり他のものに置き換わっていることなどを証言します。この証言により、脳が全く別人となっており事件のことを全く覚えておらず、自分とは無関係なことと感じている者に対して果たして罪を問えるのかどうかが争点となります。

裁判の結果は?そして、このような事態を引き起こす技術を開発してしまった「博士」は……

未来技術奇譚集 素顔のままで
技術の進歩が社会にもたらす不可思議を描くショートショート8本を収録
電子書籍(Kindleのみ)
発行:2019年6月17日初版
価格:99円(Kindle Unlimitedで 0 円)

posted by osono at 09:41 | 著作

2019年06月21日

ヒカリGO

『未来技術奇譚集 素顔のままで』収録作品のうちのいくつかをご紹介していきます。

まずはヒカリGO

ヒカリGOは文字通り光速での旅行を可能とする乗り物です。

乗り物というより瞬間転送装置といったほうが正確かな。スタートレックで乗員が惑星に上陸する際に使われる、あれですね。
(「ヒカリGO」より引用)「乗客の身体は細胞に至るまで完全にスキャンされ遠隔地で再生される。記憶も体調もそのまま引き継がれるが、身体を形作っていた粒子が送付されるわけではなく、電気信号と量子のもつれを利用して情報のみが送付されて、もとの乗客の身体は全身のスキャンが終わった直後に消去される」

「ぼく」の身体がスキャンされているときにヒカリGOが故障します。転送は正しくおこなわれ遠隔地で再生されたものの、出発地での消去がなされず、「ぼく」がこの世にふたり存在することになってしまいます。

「ぼく」は、ひとりの人間がふたりになってしまえばいろいろと問題が生じることに気づきます。パスポートも免許証も一枚しか発給されないし、年金や保険はひとり分しか積み立ててこなかったのにふたり分が支給されるはずはない。会社は営業成績がよくない「ぼく」をもうひとり雇い入れることはないだろうし、妻はふたりの夫など受け入れるはずはない。

そこで「ぼく」はある行動をとる決心をします。ところが、その結果。。。
未来技術奇譚集 素顔のままで
技術の進歩が社会にもたらす不可思議を描くショートショート8本を収録
電子書籍(Kindleのみ)
発行:2019年6月17日初版
価格:99円(Kindle Unlimitedで 0 円)


posted by osono at 12:34 | 著作

2019年06月19日

『未来技術奇譚集 素顔のままで』発刊



過去に散発的に書いたSFショートショート8本をまとめて電子書籍『未来技術奇譚集 素顔のままで』として昨日付で発刊しました。

実を言えば、これまでに原稿料に繋がらなかった作品のみを集めたものでありまして、ペンネームでWeb小説サイトに掲載してみたもの(で、あまり読者がいなかったので掲載をやめることにしたもの(涙))や、賞にエントリーしたもの(で、落選したもの(泣))も収録されていて、「そんな売れ残りみたいなもの読まん」なんておっしゃる方もおられるかもしれませんが、8本中3本は未発表の作品ですし、各話10分程度で読めるショートショートで、ちょっとした空き時間で楽しんでいただけますので、是非みなさんのスマホに1本ダウンロードを!

価格99円。ただしKindle Unlimitedで無料で読めます。
posted by osono at 11:42 | 著作

2019年04月15日

長奶夫人??

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主人公花蓮のモデルである瓦氏夫人について、なにしろ500年前を生きた人なので、伝承や史料のなかには「ほんとかなぁ」と思ったり、「いやいやいや、そんなわけないでしょ」とツッコミたくなるものが結構ある。その一部は小説中になんとかリアリティが出るよう工夫して採用したけれども、バッサリと落としてしまったものも少なくない。

例えば「長奶夫人」、すなわち、瓦氏夫人は乳房が極端に長かったという伝承。騎馬で出撃するときに乳飲み子を背負い、背中の子が泣くと馬を駆ったままで乳房を出して乳をやったという話。これは伝承というより伝説もしくは神話といったほうがいいかな。瓦氏夫人には実子はなかったと思われ、あったとしても領主夫人なのだから乳母がいただろうし、そもそもゴムゴムの実でも飲まずに乳房がそんなに長くなるとは思えないし。中国の他の地域でもこの手の話が語り継がれているようだから、これは女性の武勇を表現するための形容詞のようなもので、500年の年月が流れるうちにいつのまにかに稀代の英雄瓦氏夫人にもあてはめられてしまったのだろう。

でも、非現実的というだけでなく、なんか美しくないので物語中には採用しなかった。

(つづく)

花の舞う海〜倭寇に勝った女の物語
(5月末にかけて連載中。7月頃まで無料公開予定)




posted by osono at 15:13 | 著作

2019年03月07日

花の舞う海〜倭寇に勝った女の物語

hoshi-alfa.jpg

本日よりアルファポリスにてペンネームで『花の舞う海〜倭寇に勝った女の物語』の連載を開始しました(5月末日まで毎日連載)。

16世紀の広西壮族のスーパーヒロイン瓦氏夫人をモデルとして描く大河小説、リアル『ムーラン』です。

ここ3年書き続けていたもので、大変苦労して書いたものなので果たしてこういう形で世に出すべきなのかどうか結構悩んだのですが、なにはともあれ読んでもらわなくてはしょうがないので、ウェブに載せてみることにしました。

ぜひみなさん、読んでみてください。

ウェブ掲載でありいくらでも修正できますので、誤字脱字はもちろん、「内容、こうしたほうがおもしろいんじゃない」といったご意見も大歓迎です。

5月にアルファポリスが主催する『第5回歴史・時代小説大賞』にこの作品でエントリーする予定です。みなさんの票が必要なようなので、5月になったらぜひお願いいたします!
posted by osono at 00:13 | 著作

2018年12月17日

ショートショート(2)

引き続きペンネームでWeb小説サイトにショートショートを書いています。
脳のコピー&ペースト』 
KADOKAWA主催「カクヨムWeb小説短編賞」に本作品をエントリーしています。(ログインが必要となりうっとうしいかもしれませんが)リンク先で星を付けていただけると嬉しいです。
posted by osono at 23:08 | 著作

2018年11月08日

ショートショート

最近ペンネームでweb小説サイトにショートショートを掲載しています。

父から息子へ 時空を超えてつなぐ
(あらすじ)15年間会っていなかった親父が2ヶ月前に死んだことを知った。親父のPCを立ち上げると、そこにはぼくが生まれる一週間前から今に至るまでの家のなかの様子が映し出されていた。それらは録画ではなく、宇宙を旅してくる光が昔の姿をそのまま映し出す、いわば生放送だった。ぼくは時間旅行の旅に出て、親父のぼくに向けた想いを知る。そして親父の最後の日、親父がメッセージを伝えた……

究極の税制
(あらすじ)財政省の地下2階で密かに導入準備が進められている「包括税」。国民の銀行口座残高、病歴、勤務評定、電話やメールなどの全通信内容等を収集し、それらから算出される個々人の幸せの度合い=H指数をもとにして課税をおこなう新税だ。入省8年目の幸太郎は包括税部第一課で不幸な個々人にささやかな幸せを与える仕事を担った。続く第二課では、逆に個々人の幸せを削ぐ仕事を担当し、第三課では国民全体を幸せにする仕事を担う。次に配属されるであろう第四課では国民全体を不幸にする仕事を担わなくてはならないと気づき……

素顔のままで
(あらすじ)自分の顔が自動的に補正されて美しく写るプリクラが登場したのはずいぶんと昔のこと。その機能はあらゆるカメラに搭載され、ビデオカメラでも可能となり、鏡に映った姿までもが自動的に補正されるようになった。最近では窓ガラスにまで美しく映る機能が装備されるようになっている。このところ若い女性は、ディスプレイ越しならば理想の容姿となれるので、家族以外に素顔を晒すことを避けるようになった。街から女性がいなくなり、出会いがなくてうんざりしている僕は、ある日バーチャルな婚活パーティーに参加した……

posted by osono at 22:34 | 著作

2018年03月14日

傾国の美女とは〜宋慶齢記念館で見つけた一瞬の笑顔

『小説集カレンシー・レボリューション』収録の中編小説『ステーツマン』を電子書籍化するにあたり原稿を見直していて、

(宋慶齢の描き方、直そうかなぁ)

とふと思った。

abcde.jpg一昨年『ステーツマン』を書いていたとき、宋慶齢が(おそらく)十代前半の頃に家族と一緒に写っている写真(右の写真)を見て、慶齢(前列右)が姉の靄齢(前列左)や妹の美齢(後列右)に比べて圧倒的に可愛い、と思って、慶齢を傾国の美女に、姉靄齢はその美を羨んでいる、と物語中で設定した。で、いま読み返してみると、慶齢が登場するたびになんだか翳がある。慶齢の美しさを表すためには笑顔のシーンがあったほうがいいかも、と思ったのだけど、そういえば慶齢が笑っている写真って見たことがない。そこで、宋慶齢記念館に行って笑っている顔を確認してみることにした。

ところが、ない。一枚も、ない。少女の頃も晩年も笑っている顔が全然ない。特に孫文が死んでから数年の期間(≒ 年齢的にもっとも美しかった頃)はしかめっ面ばかり。笑って写真に写ってはいけないと思っていたのか。常にとても笑えないような気分だったのか。もともとほとんど笑わないひとだったのか。

なかば諦めつつ、1927年に武漢の左派国民党が蒋介石に破れて崩壊したあと、武漢を離れて上海を経由しモスクワにはいった慶齢の短いビデオが上映されていたのでそれを眺めていたら、

あっ、笑った!

一瞬だが笑っている顔が映っている。

それがこちら。

か、かわいい!

aa.jpg河北麻友子に似てる?

笑ったというより、はにかんでいるって感じかな。頬が痩けて見えるのは極度の心労と、長く経済封鎖されていた武漢は食料が不足していたためなのだろう。なんだか痛々しい。

ところで、笑わない美女といえば褒姒。周王朝をぶっ壊したひと。ぶっ壊したといっても、むろんそれを主導したわけではなく、彼女を好き過ぎた幽王が勝手に国を壊してしまったわけで、悪者に仕立てられた彼女は実はかわいそうなひと。

しかめっ面の美女といえば西施。彼女の顰に寄せた皺に呉王夫差は狂い、国を潰してしまった。

ほんとうに美しいひとは笑わなくたって美しい。そして、稀に見せる笑顔で悩殺し、男は悶死する。

慶齢についての模写を修文するのはやめた。


宋慶齢の美しさと悩みの深さを覗きみたいひとは、ぜひ『ステーツマン』を読んでみて。



82BF9B67-AE97-43BF-A775-283C937FB678.jpeg宋慶齢陵園内の宋慶齢記念館。虹橋からすぐなのに静かでかなりオススメ。内山完造の墓とかもある。






posted by osono at 00:20 | 著作