2014年04月24日

マカオの大発展から東京カジノ解禁問題を考えると

今回一年ぶりにマカオに来て驚いたのは、まずは人の多さ。一年前よりも観光客がずいぶんと増えたような気がする。ベネチアンのカジノ・フロアの中央からショッピング・フロアへ上がる長いエスカレーターなどは朝のラッシュアワーの新宿駅のようだった。中国の景気が悪いってのは嘘なんじゃないか、今後景気がよくなってきたらいったいどうなってしまうのだろうか、ラスベガス・サンズの株を急いで買うべきなんじゃないか、などと考えてしまった。

image.jpgそれからカジノのミニマム・ベット(各ゲーム・テーブルごとに決められた最低賭け金)がインフレしていること。ミニマム・ベットはいまや500香港ドルの時代になってしまった。300香港ドルというテーブルもあるにはあったけれども非常に数が限られていた。500香港ドルといえば6500円程度。マカオにウィンができたころ(2006年)はミニマム・ベット50香港ドルというテーブルもあったし、そのあとしばらくは100香港ドルだったのに、それがここ数年で200香港ドルになり、300香港ドルになり、ついには500香港ドルになってしまった。8年間で10倍!それにもかかわらずカジノは大盛況。

日本でもカジノ解禁がいよいよ実現しそうな雰囲気である。

しかし東京にカジノができても、その売上げはおそらくマカオに遠く及ばないんじゃないだろうか。僕自身カジノはきらいなほうじゃないし、カジノ解禁には賛成なのだけれども、検討のための事業予想が適切になされているのだろうか、と少々心配ではある。

東京でのミニマム・ベットの最少額は1000円というところだろう。マカオでの現状500香港ドルと比べれば約6分の1。つまりミニマム・ベットが最少のテーブルからの売上げは6分の1程度となる。

世界中どこのカジノへ行っても中国人であふれている。やはり中国人は賭け事が大好きなんである。日本人は少なくとも中国人に比べればつつましいもんである。東京にカジノが作られても、日本人の入場には入場料が課されることになりそうだということもあり、マカオのように自国民で溢れるなどということにはならないだろう。

中国人観光客に期待せねばならないけれども、マカオのように中国人が挙ってやってくるなんてことは考えられない。東京は遠いし、飛行機代がかかるし、言葉も通じないし。2013年の日本への中国人観光客数は70万人。日中関係が改善して、今後それが大幅に増えて10倍になったとしても、マカオへの年間観光客数の数千万人は遥かに遠い。

マカオのカジノでは奥まった個室で一回の賭け金が数百万円なんてゲームが平気で行われている。それらVIPルームでの売上げが全カジノ収入の70%程度を占めるのだとか。そうした高額ゲームが行われる理由のひとつには人民元を外貨に転換するということもあるようだ。いわゆるジャンケット・サービス(ホテルやカジノとは別の仲介人が種々のVIPサービスを提供するプログラム)を利用すれば大量の香港ドルチップを人民元で手に入れることができるようで、その仕組みがマネーロンダリングや、単に外貨交換枠を超えて両替したい人たちに使われているのだという。日本のカジノにはむろんそんなニーズはない。









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