2014年01月18日

英国総領事館(現ペニンシュラ・ホテル)

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次に英国総領事館。

現在の外灘33号にある。

広大な敷地を有し、現在はその敷地内にペニンシュラが建っている(ペニンシュラの敷地内に旧英国総領事館が建っているというべきかな)。

この建物だけは、まもなく23時過ぎだというのに煌々と輝いていてなんだか趣がなかった。この写真では広い庭がわからないし、前方の木がじゃまで、まるで木を撮影することが目的だったかのようなようにみえるし。

waitan13.jpgちなみに右は、ずいぶん昔に撮った写真。

英国総領事館は南京条約(1842年)による上海開港ののちすぐにこの地に置かれたが、そのときの建物は焼失し、現在みられる建物は2代目のもの。1870年代の竣工で、上海外灘で最も古く、唯一の19世紀の建物なのだそうだ。

上海エイレーネーの中では、英国大蔵省から派遣された外交官、エドマンド・レオ・ホール=パッチが、主人公、靄若をサポートし続ける人間として描かれている。靄若は密かにホール=パッチに好意を寄せ、ホール=パッチのほうも、どうやらおそらく靄若に好意をもっているようだ。

そのためホール=パッチの職場、英国総領事館も作中、何度も出てくる。「ガーデン・ブリッジ」と同様に原稿内を検索してみると、「イギリス総領事館」の単語の登場回数は12回だった。

例えば物語のほぼ冒頭の43ページ。
靄若を助けた白人男性のオフィスは歩いて数分のところにあった。

門衛が二人、銃剣を手に直立するゲートの向こうは深い緑に覆われており、混乱する外灘とは異次元のようである。回廊の両側に並ぶ樹木の向こうには広い芝生が広がっており、その先には、緩やかに傾斜する赤い屋根の、ベランダを巡らした二階建て洋館が見える。外灘に並ぶ他の建物は高層で、道路に面して建てられているが、ここは低層で道路から奥まって緑の中に建てられている。今の上海の混沌は自分には全くあずかり知らぬことだと主張しているかのようでもあった。

次第に気持ちが落ち着いてきた。ほんの十数分前に爆弾の投下を目のあたりにしたのが嘘のようだ。

広い庭を抜ける間に男性は、ここはイギリス総領事館であり、自分の名は「エドマンド・ホール=パッチ」だと言った。


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posted by osono at 09:58 | Comment(0) | 上海