拱北口岸の建物に入ると人があふれている。並んでみたけれども、ちっとも列は進まない。
(このまま待っていれば1時間近くかかるに違いない)
そう思い、拱北口岸を離れてタクシーに乗った。別の口岸を通ったほうがましだろう、と思ったのである。
タクシーに乗ること15分。湾仔口岸に着く。料金は20元。
ガラガラだった。
列の前には2人だけ。簡単に出国手続きを済ませ、連絡船の待合室へ。20分ほど待ってマカオ行きの船に乗り込む。そしてわずか5分ほどで連絡船は対岸に着岸した。運賃25元。
船に乗っていた人だけが入国するので、到着直前に下船口あたりに移動し、下船後はさっさと歩けばほとんど並ばずに入国審査を受けることができる。
で、マカオの入国審査。
パラパラとパスポートをめくっていた男性審査官の手がふととまったと思うと、おもむろに立ち上がってその上司と思われる女性を呼んだ。
女性審査官がパスポートを見ながら言った。
「滞在期間は?」
「明日ですけど」
女性審査官は一瞬考えてから
「明日ではだめね。今日中に出国しなさい」
どうやらパスポートの有効期限があと1カ月しかないことが問題らしい。今日は3月10日。有効期限は4月9日である。
従うしかない。しぶしぶながらも今日中に出国することを約束し入国審査場を抜けた。
(しょうがない。夕飯だけでも食べて、夜の深セン行のフェリーで大陸に戻るか)
と思いつつ、ホテルへ向かった。既に予約しており、キャンセル期限を過ぎているので泊まらなくてもカネがかかる。数時間しか滞在できないけれどもチェックインすることにした。
ホテルへ向かうシャトルバスの中でパスポートに押された入国スタンプを改めて見てみた。
「あれ?」
手書きで3月11日、すなわち明日まで滞在できると書いてある。
上司と思われる女性審査官は確かに今日中に出国しろと言っていた。しかし部下の男性審査官は明日の日付をパスポートに書き込んだ。
ホテルの部屋に入ってからマカオ入国のルールを検索すると、パスポート残存期間は滞在予定日数プラス30日必要、というのを見つけた。パスポートの期限の4月9日を含めて30日遡ると3月11日となる。つまりネットで見つけたルールがー正しいのであれば、僕の滞在予定は明日まででも問題がないということになる。
それで結局、チェックアウトは明日にすることにした。
結論から言ってしまえばマカオ出国も大陸入国もなんら問題がなかった。それどころか、いつになくスムーズだった。
女性審査官の単なるイジワルだったに違いない。
しかし、入出国というのは何もなくても緊張するもの。脛に傷のある身の場合の緊張感は、最近ではアルゴ、古くはサウンド・オブ・ミュージックでも描かれているとおり、むちゃくちゃ大きい。
戦争映画かスパイ映画の主人公のような気分で国境を越えた。
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