その幹部のオフィスの場所を参謀本部の中に設定したのだが、昨日、蒋介石の参謀本部があった南京の総統府を見にいってみて、その設定には無理があることに気づいた。
総統府は巨大な首相官邸といった感じで、庭と儀典や会議の場所は広いが、オフィス用の建物が小さく、蒋介石とその側近が働ける程度しかスペースがない。
参謀本部があるので、同じく実質的な蒋介石直属の軍事機関である軍事委員会も同居していた可能性があると考えたのだけれども、参謀本部全てがそこに収まったかどうかも疑わしい建物で、多数の工作員を抱える軍事委員会が間借りできたとは到底思えなかった。
それで、いろいろ調べてみたら、軍事委員会調査統計局の本部は、南京随一の古典庭園である瞻園の中にあったということがわかった。なにしろ特務機関のことなのではっきりしないことが多いのだが、どうやら主任と、その下にあった三つの「処」のうち、第一処はこの瞻園にあり、第一処長などと仲の悪かった第二処は他の場所にあったようだ。規模が小さく、ランクも下がる第三処も外部にあったようだが、その場所は特定できなかった。本の中のシーンで男が訪ねてゆく先はこの第三処長なのだが、場所がわからないのと、ただの雑居ビルにいてもつまらないので、瞻園に小部屋をもっているという設定にすることにした(ノンフィクションでは許されなくても、このあたりは小説では自由なんである)。
瞻園。こちらは庭園というよりも忍者屋敷のようだった。建物も回廊も入り組んでおり、自分が今いる場所がすぐにわからなくなってしまう。外周には、三メートルはあろうかという、高くて真っ黒の重厚な塀が巡らされている。
暗殺や誘拐を繰り返した特務機関の巣窟にふさわしいと言ってもいい場所であった。
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