常々「かっこいい男」について書きたいと思っているのだが、藤田君から「それならば鑑真なんてどうか」との指南をもらった。
確かに不屈の人、鑑真はかっこいい。
鑑真で書けるだろうか、と思い、すぐにアマゾンで2冊注文した。
「鑑真」東野治之著 (岩波新書)
「天平の甍」井上靖著 (新潮文庫)
後者はベストセラーでもあり、長く中国に携わってきたわりにまだ読んでいなかったことは恥ずかしいことなのかもしれない。
失明してまでも六度の日本渡航を試み、最後には成功するという壮大な物語があり、
想像を絶する渡航の困難、密告者の存在、重要な登場人物の死など、アクション・シーンや心に訴えるシーンも織り込め、
ちょうど時代が重なる玄宗皇帝と楊貴妃のロマンスも絡められるかもしれず、
さらに、昨今日中関係がギクシャクする中で、日中の交流のために尽力した人々を描くことで、社会に対するメッセージも自然に書くことができる。
小説の題材としては理想的ともいえるのだが、2冊の本を読んでみて思ったのは、
「生半可な知識では手を出せない」
ということ。
多数の資料にあたって歴史背景を詳細に調べるということは、歴史モノを書こうとするならばあたりまえのことであって、それがいかに大変そうであっても萎縮してはおられないが、問題は、このテーマで書くのであれば仏教についての深い理解が必要であろうということ。仏教を思想として理解するだけではなく、仏教の制度をもよくわかっていなければ書けそうにない。
ちなみに井上靖氏は京都帝国大学文学部哲学科の卒業で、また、天平の甍の前に同時代の仏教モノ「僧行賀の涙」を手掛けておられる。
鑑真は最初の渡航失敗から10年を経てようやく日本にたどり着いた。
鑑真について書くのであれば、どうやら10年くらいをかけてじっくりと取り組まなくてはならなそうである。
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