2012年11月29日

中国近現代史〔小島晋治 丸山松幸〕


 小島晋治 丸山松幸
 岩波書店


最近買った本ではないのだけど、どうも気になる点があるので、この本のことを書いておきたい。

本書はおそらく、中国近代史を知りたい日本人に教科書のように広く読まれている本である。中国近代史を概説する日本語書籍としては一番売れているんじゃないだろうか。

でもこの本、読んでいると時々「おやっ」と思わせる記述に出会う。

なんだか全般的に共産党寄りなのだ。共産党の対抗勢力であった蒋介石を悪く書きすぎているような気がする。

例えばP151〜P152の1935年幣制改革についての説明。幣制改革は、紙幣の発行を四大銀行に限り、銀本位からドル・ポンドにリンクする為替本位制度へ移行する等の金融制度改革である。

本書は、この幣制改革によって「元はポンドとドルの支配下に置かれ、四大家族を中心とする官僚資本が全国金融を独占するとともに、人民はインフレから身を守る手段(現銀)を奪われてしまった」と、いかにも四大家族が自らの利益のために改革を行い、人民が損害を被ったかのように書いている。

しかし当時の中国は銀価格の高騰による景気悪化に苦しんでおり、また各国は金本位制度から離脱していった時期である。金銀地金を本位とするのは時代遅れとなっており、ポンドまたはドルを本位とすることは必然と言ってもよかった。現銀の国家への集中が行われたのは、根強く残っていた現銀の取引を禁じ、同時に対外支払準備を蓄積するために必要な政策だった。この幣制改革によって中国経済は骨太になった。幣制改革がなければ、中国は日本軍の侵攻に早々に屈服してしまったとも言われる。

この他にも、共産党の肩をもち過ぎ、国民政府の政策を悪く言いすぎる部分が散見される。

おそらくは、筆者お二人の思想が左傾しているというよりも、共産党、または共産党の影響下にある資料をもとに本書を書かれたためであると思われるが、それにしても、広く教科書的に読まれている書籍だけに、ちょっと心配になってしまうのだった。



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posted by osono at 15:23 | Comment(0) | 読書等