中国近代史のものを書いていると必然的に孫文につきあたる。
中国国民党について書いているつもりのときも、蒋介石について書いているつもりのときも、汪兆銘について書いているつもりのときも、宋慶齢について書いているつもりのときも、いつのまにかに孫文について書いていたりする。
で、孫文について勉強しなくちゃと思い、まず手に取ったのが本書。
この本。。。ちょっと妙だった。
まず、冒頭は物語においてさして重要な位置づけにない登場人物の船の上での会話。いかにも小説風なのだが、小説風なのはこの冒頭部分のみと言ってもいいかもしれない。
上下巻のほとんどが、孫文が何をしたとか、どこに行ったとか、孫文の行動と歴史的事実の説明。
まあ、孫文について勉強するために読んでいる僕にとってはそれでもいいいのだけれども、小説を読もうと思って購入した人には「おや?」と思う内容に違いない。
そのうえ、勉強のために読んだ僕にとっても不満だったのは、この本、1912年の元旦、つまり孫文が南京で中華民国臨時政府の大総統に就いたところで終わっているのだ。周知のとおり、このあとも第二革命、第三革命と続き、孫文は波乱万丈な生涯を歩んでゆく。野球に例えるならば三回の表裏が終わったあたり、会社経営に例えるならば初年度決算を終えたあたり、フランス料理ならばワインが注がれてテイスティングをする直前あたり。すなわち「おいおい。それからどうなるんだ」と突っ込みたくなる場所で物語が終わってしまうのだ。
もっといろいろ読まなければ、孫文がみえてこない……
孫文 上 武装蜂起
孫文 下 辛亥への道
陳舜臣
中央公論新社
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