2010年11月04日

来年初の元高圧力

前回の記事から時間がたってしまったが、物価の話を続けて。

先月下旬、中国の預金金利が引き上げられた。
「やれやれ、やっとか」
と思った人も少なくないはず。

日本の預金金利に比べれば高いけれども、中国の預金金利はインフレ率をかなり下回っており、定期預金にしていてもお金の価値はどんどん減価していってしまう。今回の預金金利引き上げによっても、公表物価上昇率さえも上回ることにはならないけれども、一度引き上げられた預金金利は今後も上昇していくことも期待され、銀行預金をもっている人にとっては、何はともあれ喜ばしいことではある。

その預金金利引き上げについて、日経は一面でとりあげ、「為替政策批判に考慮か」というようなことを書いていたけれども、そんなこたあない。為替高を狙って金利を引き上げるのは、為替レートが原則自由に変動する国についてのこと。中国の金利引き上げは純粋に国内をにらんでのものであって、為替レートを高めたいのであれば介入額を減らせばいいだけ。

で、マクロ経済の教科書には「固定相場制においては金融政策は無効」と書いてある。実質固定相場制下にある中国での金利引き上げは、資本を呼び寄せることとなり、それに介入に応じるから市中にマネーを出すこととなるので、結局金利引き上げの効果は消えてなくなってしまう。理論的には。

「資本を呼び寄せる」といえば。。。

年末が近づいている。外貨から人民元への両替は年間5万ドルまでに制限されているけれども、今年は人民元高期待が強かったので、この両替枠を早々に使い終わってしまっている人が相当にいるはず。人民元は対日本円では安くなってしまっているものの、ドルや香港ドルに対してはこの一年でかなり強くなっている(このページでグラフ表示してみれば一目瞭然!)。この両替制限は暦年ベースなので、来年1月には外貨から人民元への両替ニーズが一気にでて、人民元上昇圧力と、それに対する介入によるインフレ圧力が強まるに違いない。
posted by osono at 00:00 | 中国経済