先日のこと、駅を出てホテルに戻ろうと南京東路を歩いていると、若い女の子、とはいえティーンエイジャーではなく22才くらい?、が声をかけてきた。
昔から南京東路では女の子に声をかけられることが少なくない。
「友達とはぐれた。電話をしたいので携帯電話を貸してほしい」
「田舎から出てきて、財布を落とした。田舎まで帰るお金を貸してくれないか」
等々。
おそらくはボッタくりのたぐいである。普通は相手にしないで足早に逃げ去る。
しかしその日は、
「そのネクタイは小学生みたいだ」
と声をかけられ、新手であったのと、少々カチンと来たので思わず立ち止まってしまった。
女の子いわく。
「紅領帯みたいだ」
つまり、中国の小学生が優等生と認められると巻くことが認められる赤いスカーフみたいだ、というのだ。
その日僕がしていたのが写真のネクタイ。色ではなく、形のことを言っているようだ。
苦笑していると、女の子は続けて
「自分で作ったの?」と聞いてきた。
「そんなわけないだろう。もちろん買ったんだ」と親切にも教えてあげる僕。
「いくら?」
「日本で買ったのだけど、500元くらいだったかな」
女の子は、ブハハハッと笑って「そんなわけないでしょ。中国なら30元くらいで買える」
あほらしくなって立ち去ろうとすると、
「もっと話が聞きたい。ケンタッキーにいこう」と女の子。
もちろん僕はそのままホテルに帰ったのだが、もしあのままケンタッキーに行ったらどうなったのだろう。単に聊天で終わるとは思えない。お酒を飲みにいきたい、とか言われて、ボッタクリバーにつれていかれるのか、美人局が現れてスゴマレルのか、それとも売春の誘いにつながっていくのか。
興味はあるが、もちろん試してみる気にはならないし、実際に試してみたという話も聞いたことがないので、真相はわからない。